5月8日から9日にかけての夜、ケメロヴォ州メジュドゥレチェンスク市にあるロシア最大の炭鉱、ラスパドゥスカヤ[Raspadskaya]において、激しい爆発が2回、4時間の間隔をおいて起こった。2回の爆発によっていくつかの地上の構造物が破壊され、換気設備も機能しなくなった。正確な死者数は今も明らかではない。公的なマス・メディアの報道によれば、現時点で66人が死亡し、84人が負傷し24人が行方不明となっている。
炭鉱は安全基準を満たしていなかった。炭鉱の経営者たちは労働者たちに、坑内のメタンガスのレベルと炭塵の量を測定する探知器を使わないように強要した。生産工程を止めなくてもすむようにするためである。多くの労働者たちは救命具――こういう場合に不可欠な酸素ボンベをもっていなかった。これらの装備を欠いたまま坑内で働いていた25人の人々が、遺体として発見された。
これらの出来事、そしてそれへの政府当局側の対応は、労働者たちの大規模な抗議行動を誘発することになった。彼らは、当局者たちが死者の数や、企業での賃金額についての情報を歪曲したと主張した。現在、労働者たちの身内の人々や救助関係者たちは地下に残され、救助作業の進行状況について知らされていない。死者数は公表されている数字を大きく上回り、150人を超えると労働者たちは主張している。労働者たちは平均して月額で70,000ルーブル稼いでいる、と当局は明らかにしたが、これは事実とは違っている。労働者たちによれば、彼らの賃金は出来高制となっており、およそ25,000ルーブルである。
労働者たちが常に危険な条件のもとで働くのは、炭鉱の経営者側からの圧力と出来高制の賃金のためである。賃金は時間給ではなく、作業の達成量の見積もりに応じて支払われる。このため労働者たちは、安全基準を無視することを余儀なくされている。坑道にガスが充満して警報が鳴ったら、労働者たちは持ち場を離れなければならない。しかしそのような場合、労働者たちは何一つ得られないか、最低賃金の水準の賃金率で計算された賃金を受け取ることになる。
メジュドゥレチェンスクは石炭の採掘のために形成された都市である。炭鉱とは、働いて生計を立てられる可能性がある数少ない場所の一つである。多くの炭鉱労働者たちは家族をもっていて、まさしく彼らの賃金によって家族を支えている。彼らは事実上全員、銀行に負債があって、それを返済しなければならない。解雇への恐れと、アパートを失うことによる長期的な見通しの欠如のために、労働者たちは恐ろしい労働条件や、安全基準への違反に目をつぶることを強いられている。実際に起きていることについて、真実を語るということは彼らには可能ではない。自らの権利を守るため、独立した組合を設立しようという労働者たちの試みは、炭鉱の経営者たちから激しい弾圧を受けて実現を阻まれている。
忍耐はもう十分だ。都市では自然発生的な集会が生まれ、その一つは5月14日から15日にかけての夜、ノヴォクズネツク[Novokuznetsk]=アバカン[Abakan]間の鉄道の一部を封鎖する行動に発展した。市長は労働者たちとの対話を試み、解散するようにと人々に訴えたが、それは拒否された。およそ300人がOMON(特殊任務警察部隊)の隊員たちとの衝突に加わり、警察に石や瓶を投げた。28人前後が拘束され、6人の警官が重傷を負った。
人々が集会をしたり市庁舎に行っていた間、その動きはまるで注目を集めていなかったが、鉄道が封鎖されるととたんに注目を集めた。ケメロヴォ州の知事であるアマン・トゥレイェヴ[Aman Tuleyev]はといえば、抗議者たち、警察との衝突に加わった人々を「犯罪者集団のリーダーたちと失業者たち」と呼び、労働者たちや犠牲者の身内の人々への、権力者の態度をありありと示した。
我々は全世界のアナキストたちに対し、蜂起した労働者たちに連帯する行動をとるよう呼びかける。共同の行動によってのみ、我々は抑圧の重荷を振り落とすことができる! 連帯を示そう。現に「奴隷」の地位におかれた人々への支持が必要である!
ロシアのアナキストによる、メジュドゥレチェンスクの炭鉱労働者へのメッセージ
ラスパドゥスカヤ炭鉱で起きたことは悲劇である。亡くなった人々はもう二度と帰ってこない。100以上の家族が見捨てられる。我々は深い悲しみと、権力者への憎しみが混ざり合った感情にとらわれる。それらが爆発することは避けられる。しかし炭鉱所有者たちの貪欲さと、労働者たちの抜き差しならない状況がそのことを許さない。この出来事へのあなたがたの反応は、我々に完全に理解される。我々はあなたがたを、そして、この事態についてのあなたがたの憤りを完全に支持する。街路での抗議行動と鉄道の封鎖、これは確かに、我々の人生を耐え難いものにしている者たちへの、効果的な抗議の手段である。
しかし、我々はあなたがたに、当局との対話ははじめから対等のものにはならない、ということを予告しなければならない。我々は市長のセルゲイ・シシェルバコフ[Sergei Shcherbakov]が、あなたがたにいかに横柄な態度をとったかを見た。当局者たちにとっては我々は家畜のようなもので、それ以上ではない。彼らの今の課題は、犠牲者の家族たちと、さしあたり働き続けられない労働者たちに「お情け」を与えることによって、人々の抗議の気勢を押しつぶすことにある。実にすばやくイニシアチブ・グループが設立されたが、彼らは労働者たちとの連帯を表明しないばかりでなく、鉄道を封鎖したために拘束された人々の釈放を要求することもなく、そのような種類の行動には全く否定的な態度をとりさえする。あなたがたの大部分は、このようなグループの結成には参加しなかっただろう、と我々は推測する。
あなたがたは今、40,000ルーブルの賃上げを約束されているが、それは炭鉱が復旧された後でのことにすぎない。それがいつ実現するのかは不明だし、抗議の騒乱が完全に静まったときには、経営陣のうちある者は約束を守らないだろう。これらのこと全ては、2008年と2009年にそれぞれ5億米ドルと1億7千万米ドルにのぼった、炭鉱の搾取からくる途方もない利益を背景として生じる。
公的なマス・メディアによって情報が遮断され、警察の業務によってあなたがたが圧力を受けている状況のなかで、我々はあなたがたへの連帯を表明したい。あなたがたは闘争のなかで孤立してはいない。我々はメジュドゥレチェンスクで展開される出来事を見守っている。最後の良心を失ったOMON(特殊任務警察部隊)の隊員たちへのあなたがたの抵抗は、我々を感嘆させる。我々は政治的な行動を通して、あなたがたの抗議行動を支援することができる。
今、抗議行動を続けることが必要である。首相との面会を要求し、全ての問題の解決を求めるといったことでは、展望はひらけない。プーチンは去る、そして状況は以前のまま残る。ましてや、重要な株券の包みにはアブラモヴィチ[Abramovich]という、最も近くて忠実な寡頭政治家が入っているとあっては。あなたがたは非常に困難な状況におかれているが、それでも今、労働条件の改善を要求することができる。危険で有害な生産部門での、出来高制の賃金を廃止するよう要求すること。有害な生産部門の労働者たちへの社会的な保障を、拡大するよう要求すること。あなたがたは労働者の集会と、労働者の代表たち――他の人々が要求すれば、いつでも交代させることができる――を通してのみ運営される、独立した労働組合を設立しようと試みることができる。搾取を被っている人々の間に、自主管理の原則や、さらには、労働者による生産の場の根本的な奪取という原則をも普及させることができる。「直接行動」の戦術を用いることもできる――ストライキ、ボイコット、それからサボタージュまで。そのような活動のみが当局者たちに、税金を払う者たちのことを、つまりまさに、自分たちを養っている者たちのことを考えさせる。それからあなたがたには、他の炭鉱や生産現場の労働者たちに宣伝して、社会的な抗議に加わったり共同の活動を調整するように訴えることもできる。
搾取される階級であるということを我々が自覚するまで、我々は抑圧され続けるということを理解する必要がある。
モスクワより連帯、2010年5月16日
原文(英語+ロシア語)
http://ru.indymedia.org/newswire/display/23673/index.php
AITのページ=写真・ビデオ(ロシア語)
http://aitrus.info/node/865
http://aitrus.info/node/866
[ONLINEアナキズム注]この記事はIさんによる翻訳の転載です。

アナキズム 14号
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